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Jazz Pianist
Takeshi Asai's Travel Journal
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Jersey Shore 2021
Wednesday July 28, 2021

Texts and Photos by Takeshi Asai

若き日のJodie Fosterに会いにジャージーショアへ

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パンデミックが始まってから演奏以外はほとんど家にこもっていた。もっとも昨今は自宅スタジオで一歩も外に出ないでも思いっきりレコーディングやプロダクションができるので、それはそれで充実したプロフェショナルライフなのだが、さすがにストイックで知られる私でも(笑)この夏の陽気に誘われれば外に遊びに行きたくなる。そこで二時間で行けるジャージーショアのビーチに繰り出すことにした。

初めてジャージーショアなるものを知ったのは、ビリージョエルの歌詞、「Spent their weekends on the Jersey Shore, Met our mothers at the USO」だと思うが、昔大好きで何度も観ていた若きJodie Foster主演の映画、『Stealing Home』でそれとは知らずその美しい海岸を観ていたことに随分後になって気がついた。

ここに出かけるのは初めてではない。10年ほど前にそのお気に入りの映画に感化されて一度そのビーチに来ているはずだ。が、詳細はすっかり忘れてしまっていた。その微かな記憶を辿ってIsland Beach State ParkとSeaside Heightsを目指すことにした。

二時間のドライブの末、大きな橋で海を渡り、地図上で見た半島を細く一直線に伸びる道に入る。自然と気分が高揚する。ふと建物を見つけた。なんという偶然、このグレーの家はSea Smokeとして映画に登場するあのコテージである。ここに父親を交通事故で失くしたばかりの高校生の主人公ビリーと、未亡人になったばかりの母親が一夏を過ごす。彼女が一生懸命に夫を忘れようとして楽しく振舞う姿が痛々しい。ある夜、8mmカメラに残されたフィルムで彼女が映写会をする。その映像に突如、失くしたばかりの最愛の夫が現れ「Jinny, I have never loved you more than I do right now」と言ってカメラを手で隠し画面が真っ暗になる。それを見て思わず部屋を飛び出して泣き崩れる彼女と、後を追って彼女を抱き抱える若きJodie Foster。その感動的なシーンが撮られたのが目の前にあるこの建物なのだ。今ではNJ Governor’s Summer Mansionとなっている。ということは、ファーストネームとラストネームが同じあの知事もここに来ていたのか。

ビーチに着く。更衣室がある建物になんとも風情のあるコンセッションがある。ビーチへの木道がケープコッドを彷彿させる。海岸は眩いばかりの白い砂が見渡す限り直線を描く。そこに青い海が広がり、ずっと座っていたくなるほど心地よい風が常に吹き抜ける。難を言えば水が冷たくて、急に深くなっている上に波が足元をすくうほど強いので、海に入るのが大変なことだ。一日中水に浸かっていられるコートダジュールの海とは違う。が、その白い砂の上での昼寝は最高だった。(おかげで最近ハマったBBQと同じくらい焼けて、帰ってから大変なことになってしまったが。)ピクニックの後、火照った体で先ほどのコンセッションへ。若者たちに感化させてフレンチフライを食べてしまう。

ビーチの後は、細君が強烈に覚えているSeaside Heightsのボードウォークへ10分のドライブ。いやぁ、洗練なんて言葉はここの辞書には載っていないであろうその素朴さ。ボールを瓶に投げつけて破れれば景品がもらえ、ハンマーで何かを叩くとゴムのカエルが飛んでどこかに入ると景品がもらえ、店先にはすっかり陽に焼けた大きなポケモンがぶら下がる。NYのコニーアイランドと東京の花屋敷を足して2を掛けたお馴染みの光景が一直線に連なる。が、まずはレモネードで体を冷やして、リフトに乗って上から観察することにした。人々が親切で良い。リフトのすれ違いで女の子が声がかけてくれる。

西部劇の衣装をつけて写真を撮ってくれるOld Time Photosを見つけた。10年前に私たち夫婦のMarriage Cetificateはここで撮ったのだ(笑)。西部劇の白いドレスを着た細君と腰に拳銃を下げた私が並ぶ写真に店の若いお兄さんが証人のサインをしてくれた。店はその時以来何も変わっていない。

夕日が美しいオレンジ色に輝くころ、風がそよぐ外のテーブルで、前菜にクラムと牡蠣、スープにクラムチャウダー、メインにクラブケーキとロブスターサンドを食べる。

白い砂と青い海、興味深い歴史、映画の舞台にもなった変わらない風情、タイムスリップをしたようなボードウォーク、聞きしに勝るジャージーショアは今も私の心をほっこりさせてくれる美しい桃源郷なのであった。

(終わり)

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Camera: Canon EOS R
Lens: Canon RF 24-70mm f/2.8L