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Takeshi Asai's Travel Journal
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Sicily & Malta 2024

July 14, 2024 - July 31, 2024

Texts and Photos by Takeshi Asai

  1. 第1話 シチリアへ
  2. 第2話 古代都市タオルミーナ
  3. 第3話 アランシーノ、アランシーニ、アランシーナ
  4. 第4話 タオルミーナ最終日
  5. 第5話 パレルモへ
  6. 第6話 パレルモ観光
  7. 第7話 映画「シネマ・パラディソ」のロケ地を尋ねて
  8. 第8話 Màcariの岩ビーチ
  9. 第9話 ラカルムート経由でアグリジェントへ
  10. 第10話 ギリシャの神殿
  11. 第11話 生徒のご先祖様
  12. 第12話 海路マルタへ
  13. 第13話 マルタの一日
  14. 第14話 マルタ最終日
  15. 第15話 シラキュース

第1話 シチリアへ

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数年前、ある本に出会った。黄色い表紙が素敵なその本には「Seeking Sicily: A Cultural Journey Through Myth and Reality in the Heart of the Mediterranean」とタイトルがついていた。表紙につられて思わず買ってしまった(ジャケ買い)ものの実際に手にとって読み始めたのは、昨年の夏、ギリシャに行った後だった。ギリシャ、シチリア?驚いたことにシチリアは昔ギリシャの植民地であり、ギリシャ語のシケリア(Σικελία)が転じてシチリアになったのだ。ギリシャ神話の多くがなんとシチリアを舞台としている。なるほど。ギリシャ旅行では格別の時を過ごしたので、これは絶対にシチリアにも行かなければならない。John Keaheyの黄色い素敵な表紙のジャーナルを読み、本の中で紹介されたレセピーで料理まで作り、その勢いで二週間を超えるシチリア旅行に出かけることにした。

老舗KLMの飛行機は順調。途中アムステルダムの接続が1時間未満で少々慌てたがなんとかなって飛行機はシチリアのカタニア空港に無事到着した。規模も雰囲気もアテネに似ている。最初の仕事はレンタカーをピックアップすること。何故か誰も並んでないSixtのカウンターに行き、予約したVW Golfを出せと言ったが、イケメンのイタリア紳士がアップグレードせよとしつこい。17日も運転するのなら、オートマチックで性能の良い車が良いというのでBMWを勧めてきた。あまりにもしつこいが、彼のいうことはかなり的を突いていたので、結局騙されてBMWを借りることにした。が、駐車場でピックアップした瞬間に彼に感謝してしまった。格好いい!

最初の目的地はタオルミーナである。数年前にG7サミットが行われ、その画像で写った古代ギリシャの劇場に感動した風光明媚な街である。事前の下調べでは空港から1時間のドライブであったが、いざGPSに打ち込んでみると2時間かかる。途中Google Mapのアルゴリズムが悪い事がわかり、Wazeと併用しながらなんとか1時間半で行くことができた。

途中エトナ山をかすめる。エトナはヨーロッパ有数の活火山であり(ポンペイのヴェスビオス火山の従兄弟であるらしい)出発の一週間前に爆発があり、カタニア空港が閉鎖された。空港が再開されたものの、心配でAirBnBに大丈夫かと問い合わせたら、「いつものことで心配いらないよ。運がよければ溶岩が見れるわよ」と超楽観的な答えが帰ってきたので、こちらも超楽観的に出かけることにした。

近くから見ると壮大である。ヨーロッパ有数の山であることが見て取れる。最後は高速を気持ちよく駆け抜け(さすがはBMW118d)、山を登り狭い道が入り組む古い街に入る。AirBnBの唯一の難点は鍵を受け取る時である。GPSでは限界である辺鄙なところに着き、そこから電話する。向こうの強いアクセントの英語は聞き辛いし、こちらも今どこにいるかが、なかなか説明できない。黒いBMWを探せと言ったかも知れない。突然スクーターに乗った女性が現れて付いてこいと言う。これでもかという坂を登ってやっとアパートについて懇切丁寧に説明を受けた。チェティというその女性はとても広くて良いアパートを懇切丁寧に案内してくれた。なんと白い煙を吐くエトナ山がベランダから見える。

NYを出てほぼ24時間、シチリアの古都タオルミーナに来て無事アパートにチェックイン。が、ここで休んでいる訳には行かない。早速夕方の街に出て、チェティが教えてくれたスーパーDecoに繰り出した。こんな古代の街にも真新しいスーパーがあって中々良い買い物ができた。レトルトだが美味しそうなパエリア、パン、野菜と果物、美味しそうな夕食を調達した。通りには良い感じのレストランが良い感じで並んでおり、明日は繰り出してもよかろう。Decoを出たところにシチリア名物カノーリの店があって、思わず入ってしまった。空腹に甘いものは苦手であるが、ここの名物を食べない訳には行かない。ヨーロッパのコーヒーとデザート、長旅で疲れた身には優しかった。

ついでに夕刻の街を歩いてみた。私の大好きな古い城門、石畳の広場、教会、綺麗な海が見える丘の上、そしてエトナ。なんと頂上から火を吹いているではないか。昏れなずむ夕日の中に鮮やかな赤オレンジの火柱が上がっているのがわかる。これは凄い。ギリシャのサントリーニでは、一度火山活動が感知されればキクラデス諸島全域を二週間以内に避難しなければならないが、ここはこうしてみんなが眺めている。

夕食の後ベランダに出ると暗闇の中でさらに火が噴き出していた。早速三脚と望遠レンズで撮影。真っ暗闇に真っ赤な火柱が上がり、ゆっくり揺れる。これは怖いが美しい。時差で中々寝付けなかったので、夜の2時過ぎに再び見てみると今度は火が止まっていた。まるで閉館時間で係員がスイッチを切ったようであった。

こうして、私たちの17日に及ぶシチリア旅行が始まった。明日からが楽しみだ。

(続く)

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第2話 古代都市タオルミーナ

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時差で寝つきは悪かったがなんとか起きた。アパートにはアメリカン・コーヒーを作るマシンはないが、モカポットが置いてある。冷蔵庫にあるコーヒーの粉を見様見真似でポットに詰めて火にかけてなんと自分でエスプレッソなるものを作ることができた。中々美味しい。

今日は朝の涼しい午前中にビーチに出ることにした。シーズン最初のビーチだ。地図で見ると良さげなビーチがある。タオルミーナのダウンタウンからケーブルかーに乗ってIsola Bellaに行こうと計画。だがケーブルカーの駅の駐車場はいっぱいで車が停められない。仕方ないのでプランBに切り替え。車で直接ビーチに行く。が、道中の景色や利便性を考えるとかえってよかった。タオルミーナはG7サミットをホストするだけのことはあって、瀟洒なダウンタウンの隣にかなり大規模で高級なホテルが並び、そこをBMWで突き抜ける快感は中々。さらに降りていくと、これまた本当に風情のある海岸通りに辿り着く。さすが世界のタオルミーナだ。海が本当に綺麗で海岸のアクセスも風情がある。適当に駐車できる場所を見つけて車をぶち込むとなんとそこはケーブルかーの終着駅であった。プランAもBも結果は同じであったのだ。

パラソルと椅子は値段が張るがなんとかスポットを見つけてかなり長い時間を過ごした。シャワーもレストランも全て揃った優雅なビーチタイムであった。日頃のNYの疲れが出たのか、昼のレストランでの1時間以外は海に入って、水のシャワーを浴びて、欲望に任せて思いっきり寝た。正確な時間はわからないが、日が陰り始めるまではいたと思う。となると、この街のハイライト、古代ギリシャのシアターに出かけていく時間だ。

今度はどこかのホテルで駐車場を見つけた。そこから目指すTeatre Anticoまで歩く。距離は大してないのだが、何せ暑い。ギリシャのシアターを観るのはフランスのプロバンスはオランジュ、エジプトのアレクサンドリアについで三つ目だ。が、ここが凄いのはステージの向こうに、壮大な海が見下ろせて、遥か遠方に、エトナが聳えることだ。これ以上の絶景は他にない。もちろん眼下には先程まで過ごしていた美しいビーチが広がる。ありし日の今日のような夏の日に、金持ちも貧者も男も女も武士も娼婦もここに来てこの空気の中で野外劇場の観劇、何と素晴らしかったことだろう。パクスロマーナに乾杯である。が、もちろんギリシャ、そしてそれを征服したローマ帝国はお人好しではない。市民に憩いを提供するという名目でプロパガンダを上演していたという。日本で言う藤原道長礼賛の水鏡、チューダー王朝礼賛のシェイクスピア、歴史は繰り返す。

しかし暑い。海でほてった体と太陽に日差し、重いカメラバッグを持って坂道を登るのはかなりの体力がいる。ほうほうのていで車に戻りアパートに戻る。着替えて夕刻の街に繰り出す。細君のお祝いをしなければならない。彼女は会社でのトップクラスの成績を収めただけではなく、Forbesの選ぶNYのトップ100ファイナンシャル・プロフェッショナルに列せられたのだ。少々良さげなレストランに入る。シチリアは1861年からイタリアに統合された。ので、料理はメインがPrimoとSecondoに別れるイタリアンスタイルが多い。ここもそうだ。シチリアを見事に描いたジャーナルから学んで私の十八番となったRigatoni alla Norama(ナスのリガトーニ)と世界中にこれほど美味いものがあるかと勝手に思っているボンゴレを注文した。素晴らしい雰囲気の中の食事であったが、量が少ないことと、好みの問題か不謹慎だが自分が作った料理の方が美味いと正直思った。

その後目抜きどうりを散策。ギリシャのミコノスを思い出すが、ここはよりファミリー向けで老若男女が思い思いに歩いている。本で読んだ荷車が置いてある。そう、シチリアでは昔から馬で引く手描きのペイントが施された荷車が特産工芸品なのだ。最も本当に技を引き継いだ職人はもう一人しか残っていないそうだ。農産物ではレモンとピスタチオが有名だ。レモネードと並んで派手な緑のピスタチオケーキが登場する。

腹ごなしに坂を登ってアパートに帰宅。最後の登りはキツかった。素敵なビーチと古代ローマの遺跡、素晴らしい食事と大変充実した一日であった。

(続く)

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第3話 アランシーノ、アランシーニ、アランシーナ

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二日目の朝を迎えた。今回の旅行では時差ボケがほとんど無いと言える。このアパートは全く現地の住人と同じ暮らしができるが、えらい丘の上にあるため歩く時は息が切れるくらいの丘を登らねばならない。が、チラチラと気になっていたのだが、その丘にはさらなる丘があって、そこに中世の城跡があるのだ。Castelmolaという名前が付いており、どうやら車で登れるらしい。朝一のアジェンダとして古城に出かけることにした。普段レンタカーにはお金を全くかけずに安い車のお得意さんであるが、今回はレンタカー屋の担当員に騙されて高級車にアップグレードしてしまった。が、こういう山道を登る際にBMWのハンドリングは最高だ。

20分ほどで山の頂上に着いた。駐車場に車を停めて歩くと、そこには小さな城下町があった。城はもう廃墟で石の遺構しか残っていないが、ここから見える景色は絶景であった。半島、輝く海、段々になった茶色い山肌、真下の街、中世の城は防御力が勝負どころだ。ここなら敵が攻めてくるのがいち早く発見できたであろう。向かいの、少し低い山頂にも砦が築かれている。武田信玄は色の違う煙を狼煙であげて敵の襲来をいち早く知らせたと聞いた。風林火山、早き事風のごとくである。

城下町には教会がある。今でこそトラックで物資が運ばれてカフェもおしゃれで充実しているが、こんな山の上の教会がこれだけ立派なところに、この国カトリックの敬虔さをみる。

一旦、アパートに引きあげてランチを自炊、細君が昨夜スーパーで買ったアンチョビとスパゲッティでアンチョビパスタを作ってくれた。レストランで食事をするのも良いが、毎食だと飽きてしまうし、お金がかかり過ぎる。こうして、あたかも自宅で暮らしているように自炊できるアパートは18日間のバカンスでは本当に助かる。

午後は、昨日と違ったビーチへ出る。当ては無いに等しいが、電車の駅を目指し、そこに水着姿の人がいる事を確認し車で海岸線を走って探してみた。予感的中。地元の人が通う無料のビーチを見つけた。そもそもビーチは皆のものなのだ。パラソルなんぞ要らない。

相変わらずイタリアの海は綺麗だ。岩場には魚がたくさんいた。水温がちょうど良くて何時間でも水に浸かっていられそう。が、パラソルもないので(笑)暑くて2時間以内に引き上げることにした。帰りのドライブもBMWは素晴らしかった。FERMATAと書いてあったので止まってしまった(笑)。そう、音楽記号のフェルマータはイタリア語でストップ、楽譜に書いてあればそこで演奏が一時停止し、バスストップに書いてあればバスが一時停止する。

アパートに戻って昼寝。これが気持ち良い。そうそう、この地では一番暑い時間、午後2時から4時まではシエスタをとる。店もほとんど閉まっているので私たちもアパートで休んだ。

夕方は、おめかししてダウンタウンへ。アランシーノというシチリアの郷土料理を食べる。こいつは出かける前から噂で聞いていて楽しみにしていた。ライスにハムやらピスタッチオを入れて油で揚げたおにぎりより少し大きい丸い米の食べ物だ。頭がとんがっていて愛嬌がある。かなりボリュームがあって、一つ食べればお腹が膨れてしまう。

アランシーノ(複数形ではアランシーニと言い、現地ではアランシーナと言うそうだ)を食べていると、偉く綺麗に正装した男女が横を通っていく。芸能人でもきているのかと思って付いて行ってみることにした。なんとそこには美しいパラッツォがあり、ちょうど結婚式が終わったばかりなのであった。沢山の花飾りを業者が撤収するところで、その前に写真を撮らせてもらった。それにしても素晴らしく綺麗な城館である。

で、例のスーパーDecoで水と朝食を買って心臓破りの坂を登って帰宅。シチリアに着いてまだ二日目なのであるが随分長いことここに居る気がする。時差ボケは全く無く快適なタオルミーナの現地生活であった。

(続く)

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第4話 タオルミーナ最終日

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タオルミーナ三日目の朝、ゆっくり起きてすっかり気に入ってしまったモカポットで今日はカフェオレを入れて飲む。すっかり現地人だ(笑)。

あまりにビーチがきつかったのか、そもそも暑いからなのか、細君がばててしまったので、ランチを食べて昼から一人で歩いて街に出ることにした。今日はビーチはお休み。20分ほど山を降るとオールドタウンに入り、そこにいきなりローマのオデオンを発見。オデオンとは何だっけ、辞書を引くと「古代ギリシャやローマ帝国で、音楽や詩吟を演奏するためのホール」の事である。近くにある、昨日訪れた壮大なシアターはNYで言うならリンカーンセンター、目の前にある小さな劇場は、さしずめ私が演奏をしているブルックリンのジャズクラブであろう(笑)。大きいヴェニューから小さいところまで、それだけ音楽は古代から人々に必要なものであったのだ。音楽を生業にしている事を誇りに思った瞬間である。

その隣に、貴族の住んでいたパラッツォがある。昨日のものとは別だ。が、シエスタなのか一旦クローズして4時に再開するそうだ。優しい若い女性がそう教えてくれた。写真は撮っても良いと言うのでとりあえず中庭と外観の写真を撮る。

もう一つ、昨日結婚式をあげていたパラッツォも閉まっているかと心配したが、帰り道なので寄ってみた。が、運よく建物はそのまま開いていた、が誰もいない。今回はゆっくりと観させてもらったが、中は殆ど空っぽで外壁だけを残して今は結婚式やらコンファレンスやらに使っているようだ。FBのフレンドからそこでアート作品を展示したと教えてくれたベテランのアーティストがいた。

そのまま大好きなメインストリートを歩いてみたが、何せ暑い。そうなのだ、人様がシエスタを取っている一番暑い時間に、しかも細君がばてているのに一人でそぞろ歩きもバカである。我らがスーパーDecoで細君に水と滋養強壮にスイカ(重い)を買って、例の心臓破りの坂を登ってアパートに帰る。

早めの夕食を食べて、今度はBMWで暮の街に出てみた。運よくダウンタウンの有料駐車場が空いていた。ラッキー。昼過ぎにシエスタの為に入れなかったパラッツォを尋ねた。同じ女性が迎えてくれて、今度はたっぷりと中を見せてもらった。城館の目の前にセンス良く色が施されたイタリアの名車、Fiat500が停まっていて、非常に絵になる。このパラッツォで中世の貴族が暮らしていたのだ。通りに向かって豪奢な窓が並ぶ。優雅な服を傅いて道ゆく人を見下ろしていたのであろう。道ゆく人は中をみることは一生無理で、見上げることが精一杯なのであったのだろう。壁画も当時のまま残されていて見応えがあった。回廊式の建物がフランスにはないイタリアを感じるのは私だけか。

さて、まだまだ暑いが昼間ほどではない。近くのカフェに入って、名物ピスタチオのケーキ、エスプレッソ、リモナータ(レモネード)を注文。ケーキは見たほどではなかった。そのまま夕刻の街歩き。只今、Film Festivalを開催中のようで、街の広場の設営がハリウッドであった。有名人も来ているのかもしれない。近くの教会で結婚式の準備をしていた。花の設えが超素敵で、写真に収めるとタオルミーナの美が一瞬で表現できたかもしれない。

名残惜しいが、そろそろアパートに引き上げなくてはならない。我らがスーパーDecoでパエリアを買って今夜も自炊だ。元々は今頃トルコのイスタンブールにいる予定であった。が、ターキッシュエアラインが折角予約したフライトの一つをキャンセルしてきた。そのバックアッププランがこのタオルミーナであったのだが、蓋を開けてみると大正解であった。

明日は、車でいよいよシチリアの州都パレルモに出かける。3時間強のドライブが楽しみだ。

(続く)

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第5話 パレルモへ

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シチリアに着いて4日目の朝を迎える。シチリアはギリシャ語ではシケリア、紀元前はギリシャの植民地であり、その確固たる証拠にシチリアがギリシャ神話の舞台となっていることが多い。その一つにペルセフォネ(Persephonē)がある。ギリシャ神話の最高神ゼウスと妃デメテルとの間には農業の女神ペルセフォネという美しい娘がいた。ある日、ペルセフォネが野原で花を摘んでいるところを叔父に当たるハデスがペルセフォネのあまりにもの美しさに彼女を誘拐して地下の帝国に連れて行ってしまった。ペルセフォネが地上に居なければシチリアの全ての植物が枯れてしまう。デメテルは発狂して島中を探してペルセフォネが地下でハデスの妃になっているところを見つけた。早速ハデスとゼウスの話し合いが持たれたが、四つの季節の内一つだけは地下にいることが決まった。それが農閑期である。その神話を聞くとその農閑期は冬であると我々は思うが、ここでは夏なのだ。夏はあまりにも暑いのでここでは農業は秋から春にかけて行われる。飛行機からシチリアを見ると、どこまでも茶色の大地が続いていた。その茶色の大地を今日はBMW118dでアウトストラーダを疾走する。

3時間ほど、気持ちよく高速を巡航していると海が見え始め、大きな街が近づいてきた。パレルモだ。やがて車はNYと変わらない(?)大きな都市に入った。NYと違うのは車線が見えない、もしくは存在しないくらい道路が悪いこと、ゴミが平気で捨ててあること、運転マナーが悪くどこも早いもの順だということだった(笑)。

さて、長距離ドライブの後に着いて苦労してチェックインをしたが、これで終わってはいけない。John Keaheyの本で読んだPalazzo Chiaramonte-Steriに出かける。ツーリストインフォメーションの情報によると車では入れないそうなので、歩いて出かけることにした。30分なら良い散歩になるだろう。と思ったのは間違いで、実際には灼熱地獄を歩道も殆ど無くゴミが渦高く積み上がった州都とは思えない最悪な道路を歩くのであった。

そしてやってきたこのPalazzo Chiaramonte。何で有名かというとInquisition(異端審問)が行われた牢獄であったのだ。折角歩き切ったのに5時まで入れないというので、近くのレストランで飲み物をいただいて休むことにした。やはり暑い。

異端審問とはスペインの黒歴史なのになぜシチリアに?とは誰もが抱く素直な疑問である。私もそう思った。悲しい事にシチリアは6世紀に東ローマ帝国、9世紀にイスラム、11世紀に北欧のノルマン、その後フランスのアンジュー家、アラゴン、スペインなどに次々に支配されそのスペインの統治時代にこの悪習がここで展開された。

時間が来て中に入ることができた。若い女性が一組のイタリア人夫婦と私たちを、イタリア語と英語でかなり詳しく案内してくれた。まずは建物の名称、Chiaramonteはノルマン遠征で11世紀にこの地にやってきたフランス人の名前だそうだ。中世に敗北するまでシチリア南部に勢力を伸ばした家族であったそうだ。私の忘れられない生徒の一人にChiaramonteと名乗る女の子がいた。12歳から18歳まで彼女を育てたが、何せ頭がよく、音楽的に才能を持ち、かつスポーツ万能、容姿端麗、性格はどこまでも素直で清い優等生であった。イタリア、特にシチリアからの移民が多いNYのことだ。きっとこの特別な家族の末裔なのでは無いかと思う。連絡をとらなければ(笑)。

異端審問の牢獄は決まって囚人達による宗教的な落書きが描かれている。ここもそうだ。見るに耐えない。John Keaheyの本にシチリアの政治家で作家のLeonardo Sciasciaが調べて書いた異端審問の章があった。そこに書かれていたエピソード、一人の囚人が審問者を殺害して逃亡した話を質問したら、案内の女性がすぐさまに彼の独房を見せてくれた。

見学が終わると、ガイドの女性が寄ってきて、私に本を紹介してくれた。「Morte dell’Inquisitore(異端審問の死)」なんとLeonardo Sciasciaその人の書であった。が、イタリア語の本を私に薦めるとはなんという強者。が、記念に買ってしまった(笑)。

30分の散歩は、往復すると1時間になるという単純計算ができていなかった。帰りはグタグタに疲れて、グラニータ(スムージー)を縋り付いたのは言うまでも無い。そのままFamily Martに寄ってレトルトのピザを買う。

物質的にも精神的にも大変な一日であったが、まずは無事にパレルモに着いたことに感謝。

(続く)

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第6話 パレルモ観光

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最初にパレルモの名を聞いたのは、ニコラス・ケージの若かりし頃の映画Moonstruckで、シェールの婚約者がJFKからパレルモに帰るシーンがある。イタリアン・アメリカンの映画だと思っていたが、実はシチリアだったのである。

私たちは通常どこにでも車で入っていって観光する。ローマのスペイン坂も車で観光したくらいの車王なのだ。しかし、パレルモでは町の中心地には車で入れないようになっている(後でパスを買えば良いことが判明、ツーリストインフォメーションの係員の英語が下手くそだからだ!)ので、仕方なく最寄りのパーキングから歩く。例によって距離はさほど無いのだが何せ暑い。それに道が悪すぎる。歩道がきちんと整備されていないだけで無く、ゴミが捨てられていて臭い。道路も都市計画という言葉が辞書に載っていないのであろう複雑で、Google Mapが手放せない。最初の観光地、パレルモ大聖堂に着いた時にはすっかり疲れてしまって、まずカフェに入って朝食をとることにした。チャキチャキ働くお兄さんが席を案内してくれて注文を撮ってくれた。イタリアなのだがクロワッサンとカプチーノだ。暑い。

街の一番の通りであるVia Vittorio Emanueleが認識できなくて(パリのシャンゼリゼを勝手にイメージ)路上生活に近い貧民街に入ってしまったが、気を取り直して北上しPalazzo dei Normann(Royal Palace of Palermo)へ。何故にNormannなのか、それは11世紀、北欧のノルマン人がこの地を制服し王朝を打ち立てたからだ。ちなみにNormanとはNorth Man、北欧の民族でそれが現在のEnglandの先祖となっている。昨日訪れたChiaramonte城もその時の遺産である。その後パレルモは、ムスリムと共存しながらシチリア王国の首都として反映したそうだ。となるとこの宮殿はパレルモのハイライトなのだ。

私が知る限りでは、フランス国王ルイ14世から分家したスペインのブルボン家から更に分家したシチリア・ブルボン家が統治したシシリー・ナポリ二重王国が存在したが、それ以外にもフランスのアンジュー家、アラゴン、スペインなどに次々に支配された。そしてこの宮殿が各々の王朝に使われ、現在も国会はここで開かれるそうだ。

ロイアルと言うだけのことはあり、荘厳さはナポリのカセルタに負けない。金ピカの荘厳な教会がある。国をあげての敬虔なカトリックである。それぞれの時代の風俗・様式に合わせて装飾が煌びやかに施されていた。

見終わって外へ出た。暑い。そこに救世主のようにレモンとオレンジを絞ってジュースを作ってくれる小さな屋台があった。早速二人分のジュースを注文。本によると、シチリアはレモンが有名で、オレンジのようにかぶりついて食べれるとのこと。

しかしあまりにも暑いので、早々にアパートに引き上げて、昨日行ったCafeでランチをする事にした。昨日のお姉さんが、丁寧にGoogle翻訳でメニューを解説してくれた。感謝。ひき肉のリガトーニと豆のスパゲッティ、副菜のいんげんがとても手作り家庭的なのだが、毎日でも食べたいくらい本当に美味しかった。

あまりに暑いので、市内観光を取りやめて(もう見なくても良いだろう)、ビーチに繰り出す事にした。チェックインのエマニュエラが勧めてくれた砂のビーチにBMWを走らせた。道すがらの景色はとても良い。綺麗な海と砂浜は非常に混んでいたがなんとか駐車して海へ。パラソルのスポットは何故が入れてくれないので、無料の場所を見つけた。ビーチは無料でいいのだ。

どのくらい居たのか、程よく切り上げてアパートに戻る。少々の休憩の後、シチリア2回目のレストランに出発。Googleで見つけて良さげであったレストランはなんとアパートのすぐ近くで、予約は無いがなんとか二人分のテーブルを作ってくれた。ここの料理は格別であった。大きな板の上に、小魚、イカ、エビなど沢山の魚介類のフライがてんこ盛りになり、脇に2種類のハンバーガーが鎮座している。素晴らしいの一言。オーナー夫妻はNYに行ってレストランの視察をしたことがあるようで、我々には大変好意的に接してくれて、ビデオまで撮ってくれた。その名もHamericana、シチリアとアメリカのフュージョンであった。満腹になってアパートに戻る。

パレルモを満喫できる素晴らしい一日であった。

(続く)

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第7話 映画「シネマ・パラディソ」のロケ地を尋ねて

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1988公開の映画に「シネマ・パラディソ」と言う名画がある。リアルタイムではないのだが、ボストンで音大生をしていた頃にハマって感動した。個人的には世界でベスト10に入る映画だと思う。作家であり監督であるGiuseppe Tornatoreの自伝的ドラマで、惜しみない映画への愛を軸に当時の人々の生活、そして実らなかった愛が描かれる。Ennio Morriconeの音楽も抒情的で素晴らしく、当時ジャズミュージシャンたちがカバーした。私も演奏した。その映画「シネマ・パラディソ」のロケ地はシチリアにある。

高速はほんの少し走っただけで終わって、残りはひたすら山道を運転する。助手席の細君は大変だったろう。目指すはPalazzo Adriano、1988年の撮影以来街の様子は変わっていないと言う。

途中の山の景色の素晴らしさ。ちょっとした丘陵の上に廃墟となった城がある。石でできた鉄道橋、岩山、まるで異次元に来たようである。Google Mapには山火事警報が並んでいてびっくりしたが、近づくと山焼きであった。いずれにしてもワイルドである。狭くなった道に時々小さな村が現れる。それが永遠に続き、最後は対向車とすれ違うことも難しい道となり、目指すPalazzo Adrianoに着いた。2時間のドライブであった。

停める場所を探す前に、街のたった一つの広場に来ていた。そしてその広場が映画の舞台そのものなのであった。着いてドアを開けるや否や教会の鐘の大合唱が始まった。何も食べていなかったので、たった一件開いているカフェに入ってクロワッサンとカプチーノをいただく。私たち以外は全員地元のおじさんである。イタリアは何処に行ってもおじさん同士がつるんでいて、そこに女性を見かけることは全くと言って良いほど無い。男女の役割がアメリカとは違うのだと推測する。

映画館として使われた建物はきっちりした教会に戻っていたが、周りは映画そのもので、「チンカンタリーラ(50リラ)」の噴水もそこにあった。橋がかかっていた時計台も健在である。が、シネマパラディソ博物館は街の人に聞いても見つからなかった。

宮崎駿によれば映画の寿命は30年だそうだ。となるとこの映画は公開後36年、もう世間からは忘れ去られてしまったのかもしれない。素晴らしいセットの街に来て嬉しく思う反面、寂しくもあった。

さて、気を取り直して次の目的地に向かう。cefalu'(チェファリュ)だ。随分と田舎を走らなければならなくて、Google MapやWazeのアルゴリズムが追いつかず(笑)苦労した。山から今度は海に向かう。素晴らしく綺麗な岩場のある海が見えてきた。海のこの青色、なんと綺麗なことか。

が、ここで失態を犯してしまった。GPSはこの街が誇る世界遺産、チェファリュ大聖堂を目指しているのだが、途中から地元の車しか入れない狭い街に入ってしまった。「入ったところは出て来れる」と豪語して進んでしまったが、道はどんどん細くなり最後のカーブは、細君が降りて先導しても、BMWの最新のモニターシステムを駆使しても曲がりきれないもので、水着姿の人々が興味津々見つめる中をバックする以外になかった。そのバックも大変で最後は人々が制する中一方通行を逆走して脱出した。やれやれ。

随分と遠いがなんとか止める場所を見つけ、歩いてまず世界遺産の大聖堂を目指す。が、開くのは昼の12時、ちょうど良いので目の前の広場でサンドイッチのランチをした。店の人の愛嬌があってなかなか良い。が、暑い。

大聖堂は古い。世界遺産に登録されている。ここがアラブに支配されていた時の遺構の上にキリストの聖堂を作ったからで、その歴史は11世紀にも遡るという。石の街を歩いて海岸に出た。すごく沢山の海水浴客でごった返すこの綺麗なビーチには石の突堤があり、ここがまさに今日のテーマである映画「シネマ・パラディソ」のロケ地なのだ。そう、主人公トトが映写機をロバで運んで野外映画を上映し、暑さで蠢いている時に突如雨が降り、恋人エレナが現れるシーンである。あのシーンがここで撮られたのだ!ちなみにその時の映画のシーンはユリシス、ギリシャの冒険活劇であった。

また、映画の中で、削除された岩場でのキスシーンがある。それはシチリアを舞台にした映画であると本で読んでいた。そのシーンもここで撮られたのではないかと思うくらいに、綺麗な岩のビーチが広がっていた。頑張って水着に着替えて歩いて水に入った。

シネマ・パラディソ万歳、もう一度観なくては。

(続く)

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第8話 Màcariの岩ビーチ

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パレルモの観光が思ったよりも早く終わってしまって、一日空いてしまった。が、それで困ることは無い。色々なソースよりMàcariという場所に非常に美しいビーチがあることを突き止めている。ただ、時間があるかどうかが問題であったが、朝から出かけることができれば、片道2時間の日帰りも全くOKとなる。と言うので、今日はビーチの一日となった。

自慢のBMW118dでパレルモのアパートを出る。最初は汚い(失礼)パレルモの市街を走り、高速に乗る。しばらく走ると左手に茶色い岩山、右手に海の絶景が広がる。2時間強でタイムスリップしたようなレトロな繁華街があるリゾート地に着いた。が、目的のMàcariはここではない。更に20分ほど走ると美しいが神々しい岩のビーチが現れた。ここだ。

我々はビーチといえば砂浜を思い浮かべるが、どうやらシチリアは岩の海岸線が広がっているようだ。ここでどうやって海水浴をするのか不安であったが、遠くに人が見えるので歩いてみた。そこには美しい石が並ぶ石のビーチがあった。が、波は強くて海には到底入れそうにもない。要は遊泳禁止なのである。人はそこに椅子を並べて太陽に当たっているのであった。自分たちは、椅子もパラソルも無いので、焼けた石の座り心地の悪さと、水に入れないので体温が上がるばかりなので、30分もいたろうか、そろそろ我慢の限界となり、その見た目には美しい石のビーチを後にした。

Màcariと言う街にはダウンタウンがなくて、あるのは小さな教会とその前にカフェが一件だけで、相変わらずおじさんたちが集まっていた。お腹も空いたし、トイレにも行きたいし、水分も補給したいのでそのカフェに入る。みんな良い人たちであった(笑)。

さて、お腹も膨れたし、眠くなってきたし、まだ海水浴の欲求が満たさせて無いので、ビーチのハシゴをすることにした。しばらく車を走らせると、なんと大きな駐車場のある良さげなビーチがあった。Cala Calazzaと言うビーチで無料で車を停めさせてくれて、かつ送迎バスで砂浜まで連れて行ってくれる。おしゃれなファミリーが集う良いビーチであった。隣には岩場があるので少し近づこうものならライフガードが笛を吹いて警告してくれる。これは安心だ。ここで思いっきり水に入ってシチリアの海を堪能した。さすがヨーロッパ、一人の少女がビーチで男子顔負けのサッカーのスキルを見せてくれた。ところ変わればである。

景色は絶景で、遠くに巨大な岩がある。風が強いからか緑は少なくて茶色の山肌がなんとも神々しい。Màcariは良いところだ。昨年行ったギリシャのクレタ島に似ていなくもない。彼の地も岩山が多くてそれが独自の景色を醸し出していた。ここもそうだ。

十分に風と海を楽しんで、人々が引き上げ始める頃に私たちも引き上げた。帰り道は順調、岩山を見ながら壮大なドライブを2時間、愛車BMWはベースキャンプのパレルモのアパートに帰ってきた。その足で、Family Martにいき、お惣菜を調達。明日は、パレルモを離れ、島の反対側、アグリジェントに行く。18日間の旅はいよいよ後半戦に入る。それに備えて、洗濯をしっかりしてゆっくりと夜を過ごした。

(続く)

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第9話 ラカルムート経由でアグリジェントへ

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さて、三日間を過ごしたシチリアの州都パレルモを後にして、今日はラカルムート(Racalmuto)経由でアグリジェント(Agrigento)へ向かう。お世話になったアパートを掃除してチェックアウト。BMW118dに荷物を詰め込んで出発。 アグリジェントはシチリア指折りの観光名所だが、何故にラカルムート経由なのか?それには、Chiaramonte城の存在と今回のシチリア旅行のきっかけとなったJohn Keaheyの本にも登場し、Steriで勧められた本の著者、Leonardo Sciasciaがあった。そう、彼の出身地なのだ。シチリアは多くの国の占領下にあるが、ギリシャの植民地の後に長い間アラビアの支配があった。ラカルムートの語源はアラビア語のraḥl Ḥammūd、Sciasciaもアラビア語のラテン化である。

Chiaramonte城は、ノルマンの遠征に伴ってやってきたフランスの支配者で、私の生徒の末裔である。その名を翳した中世の城がある。

GPSのアルゴリズムでは山道をひたすら2時間の行程であるが、一週間のシチリア滞在で賢くなった私は、アウトストラーダA19を出来るだけ走って最後のみ山道という経路を編み出した。これで運転が随分と楽になるはずだ。

2時間の快適なドライブの末に、ラカルムートに着いた。いきなりLeonardo Sciasciaの銅像が道の真ん中にあった。でも、人がほとんど外に出ていない眠った街であった。なんとかやっているカフェを探してトイレ休憩。しかし暑い。歩くのが超困難である。Chiaramonte城は探すまでもなく街の中にある。ガイドブックでは、「いつも閉まっている」とあるが、行ってみると地元のおばさんが二人で受付をして有料で入ることができた。客は私たちだけである。大きな塔と強固な石の城壁、まさに中世の城だ。私は近世の城館も好きだが、断然中世の城の方が肌感覚が合う(笑)。前世が中世のフランス貴族であったかもしれない(笑)。城からの景色はいつも素晴らしい。ここもそうだ。たっぷりと観て回るとなんともいえない達成感が湧いてきた。

さて、ここからアグリジェントに向かうのであるが、まだ随分と時間があるので、Naroと言うもう一つ近くの中世の城を見つことにして、そこに車を走らせた。街を去ろうとした時に、アラビア風の建物を見つけた。やはりそうだ。ここは昔アラビアだったのだ。

さて、ランチも取らなければならない。中々いい店が無い時の救世主はガソリン・スタンドのカフェである。アメリカと違ってヨーロッパ、特にイタリアではカフェのクオリティーが高い。給油も兼ねて立ち寄ったのは、Eni Cafe。店のおじさんが私たちを珍しがって、どこから来たのか聞いてきた。NYに住む日本人だと言うと、何故か感動してくれて、別れ際には「NYは大きな素晴らしい街だ。会えて光栄だ。」と出会いを喜んでくれた。

Naroは小高い丘の街で、車でどんどん登ってゆく。細君はまたしても車が狭い路地に閉じ込められてしまうのを心配していたが、私は大丈夫だ(笑)。丘を登り切って城の麓まで来た。えらい!ガイドブックには「いつも閉まっている」と書いてあるが、ここはその通り閉まっていた。それでも外観と正面の入り口を外から眺めるだけで感動した。それにしても照りつける太陽が暑い!

二箇所の中世の城が観れたのは、通り道としては最高だ。ここから改めて、これから三日間の滞在地、アグリジェントに向かう。GPSは便利だ。が、ヨーロッパの古い街は最後は土地勘に頼らざるを得ない。ここもそうだった。本当に入っていいのか分からない道を随分と走り、最後は歩いてアパートを見つける。が、ここは滞在中随一のローポイントであった。キーのコードが送られて来ないし電話は繋がらない。仕方ないので、有名なギリシャの神殿でも見ようかと思った1時間後に初めて電話が通じたが今度は英語が通じない。「カピート?」「ノー」ってな感じで、頑張ってキーコードを聞き出してやっと入室可能。窓がほとんどない洞窟のようなアパートであった。が、泊まるところがある。それだけで満足することにした。

もうすでに盛りだくさんの観光をしていた一日であったが、夕方労いに山を10分歩いて降りて良さげなレストランに入った。シチリアの郷土料理が食べたい。が、やはり郷土料理はイタリアンであった。プリモにパスタ、セコンドに豚肉、中々であった。

ここは紀元前ギリシャの支配下に置かれていたシチリアで最もギリシャな街だ。昨年はパルテノン神殿が熱波で閉鎖されたので、ここの神殿でリベンジ。明日が楽しみだ。

(続く)

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第10話 ギリシャの神殿

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初めて迎えるアグリジェントの朝、どう言う風の吹き回しか、散歩に出ることにした。軽装でカメラを一台だけ持ってすぐに帰るつもりで街にでたのだが、ツーリスト・インフォメーションに立ち寄ってしまった。案内してくれた男性は日本のアニメオタクであった。地図をくれて案内してくれるところによると、そこはもうメインストリートで中心で、絶対に観なければいけない世界遺産の大聖堂はアパートに帰るよりも近い。ので、そのまま観光に出ることにした。「近い」と言うのは実は曲者で、1、温度が非常に高い。見かけるネコがみんなぐったり伸び切っている。2、坂道、いや階段が異常に多くて登るのが大変。3、道が非常に入り組んでいてちょっとしたことで迷って無駄足を運んでしまう。と言う条件で随分と苦労した。息も絶え絶え、汗もかきまくりで目的の大聖堂に到着。11世紀からの古い聖堂で、アラブが作った基礎の上に建てられたとのこと。係の女性がとても親切に順路を案内してくれた。この街の規模でこの大聖堂、やはり本当に敬虔なカトリックの国である。時計台もあって、すれ違うのもやっとな狭い階段を登ったが景色はアグリジェントの全貌と海が見えて最高であった。

道に迷いながらも次の教会へ。ここではアラブの基礎を見学できた。外に屋台を出している八百屋を見つけた。と言うよりも、立派な食料品店で、今日あすの食材と水を買うことができた。店のご夫婦がとてもチャキチャキ接客していて、レジも打つが、肉を切ってサンドイッチも作ってくれる。朝の散歩から予期せずに観光と買い物に発展してしまったが、相変わらず複雑な道を迷子になりつつもアパートに戻った。暑い。

さて、アパートでランチを食べて今日のメインイベント、ギリシャの神殿に出かける。ギリシャの神殿がイタリアに?と思うところであるが、ここ紀元前はリシャの植民地なのであった。ギリシャは方々の国に征服された可哀想な歴史をもった国であるが、下には下がいる。シチリアはそのギリシャの植民地であったのだ。実際にペルセポーネ始め数々のギリシャ神話の舞台としてシチリアは登場するし、ソポクレスのギリシャ悲劇もここが初演であった。蝋で羽を固めてクレタのクノッソス宮殿を脱出したイカロスの父親はこのシチリアに逃亡した。

車で目的地に着き、歩いて敷地内に入る。神殿は一つではなくて、かなり大きな敷地にほぼ直線に並んでいて、アクロポリスほどは大きくないもののそれぞれが立派な建物である。そして形は全て本国ギリシャと同じである。違うところは岩の色か。ここはもう少し茶色が掛かっている。早速神殿の前で舞を奉納することにした(笑)。

が、何せ暑い。このくらいの距離を歩くことは普段なら問題ないのであろうが、この温度で体力を消滅する。最後の崩れた神殿はパスすることにした。たっぷりと2時間は歩いたであろう、夕日が刺してきた。神殿がより神秘的になってきた頃に、退場。アパートに戻る。いや、壮大だ。現代の人はシチリアがイタリアだと思っていて、実際そうなのだが、イタリアに対しては抵抗感があるし、実際のシチリアの歴史を勉強するとシチリアがイタリアと言う考えは吹っ飛んでしまう。そこでは、自らUna Fassia(One Face)と呼ぶように、ギリシャとの関わりの方が強いかもしれない。それを強烈に感じた午後であった。

夕食は、昼間見つけたレストランに行く。イカ墨パスタが食べたい。ストリート名は、Via Atenea、レストランはBar Athenea、さすがはかつてのギリシャの植民地。注文したのは、オレンジがいっぱいある入ったシシリアン・サラダ、私の十八番ボンゴレパスタ、そしてイカ墨のパスタ、どれもこのシチリアで一番の料理であった。通りに面したAl Frescoで、幸せな人々を観ながら、少し涼しくなった風を感じながらのディナー、とても幸せな気分にさせてくれた。

(続く)

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第11話 生徒のご先祖様

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アグリジェントの二日目の朝、まずは昨日見つけたナイスな食料品店に買い出しに行くことにした。いくら旅行中とはいえ毎日外食するわけないは行かない。胃もお金もついてこないのだ。いやぁ、良い店だ。野菜は新鮮だし食料品はパンから肉からなんでも揃うし、パスタも全ての種類がある。トマトも6種類置かれていてどれも美味しそうであった。

実は昨日がスーパーEffecientな一日で、アグリジェントをたった一日で(ほぼ)全て観てしまったので、今日は郊外に出かけていくことにした。出かける数週間前からFBのシチリア関連のグループに顔を出していたおかげでどこに行ったら良いかには困らない。困るのは時間がなくて諦めなければいけないことの方であった。

と言うので、今日は車で1時間強のところにある中世の古城(笑)を観に行くことにした。興味のない人には全ての城は同じに見えるだろうが、私には違う。全て列記とした歴史とキャラクターがあるのだ。前に述べたことでもあるが、私にはかつてChiaramonteと言う大変優秀な生徒がいた。頭脳明晰、容姿端麗、性格ばっちしの彼女と同じ名前の城がシチリアにはあり、その家族は11世紀にノルマンがアラブを制圧した時の実力者のフランスの家系であったのだ。その一家が中世に失脚するまでシチリアで勢力を伸ばした。その証拠が数あるChiaramonte城である。パレルモで観た異端裁判が行われたPalazzo Chiaramonte - Steri、ラカルムートで観たCastelo de Chiaramonte、なんと今日は第3の城、Castelo Chiaramontanoを観にいく。実はもう一つCastello Chiaramonteと言うのがあるのだが、これは結婚式場になっているので行くのはやめた。

アウトストラーダが山道になり、暫く走ると海の見える場所にきた。城が見えた時には度肝を抜かれた。それは中世の城を絵に描いたような景色であった。海を見下ろせる丘の上に、石の塔が空に向かって突き出す。たった一本の道が緩やかなカーブを描きながら城に向かう。周りにはなんの建物もない。舗装してないその道をBMW118d(4WDでは無いのが心配だ)でゆっくり進む。これ以上いけないところに車を停めて歩く。下から見上げる城はもう廃墟となっていて誰もいない。城門は閉ざされているが窓は一部整備されている。何かに使うのだろうか。見晴らしは申し分ない。当たり前だ。が、それだけではない。眼下の海岸にはまるで映画に出るようなコの字型のビーチがある。誰もいない。しばし見惚れて動けなくなった。絶景だ。ありし日に、ここで人が暮らした。一体どんな生活であったのか。Castelo Chiaramontano、今までみた中世の城でここほど条件の揃っているものは観たことがない。

さて、史上最強のCastelo Chiaramontanoを観終わって次は城ではないのだが、美しい海とそこに突き出した白亜の海岸、Punta Bianca を観にいく。Biancaとは白と言う意味であることは私でも知っている。

最近の旅は非常に効率が良い。第一の理由はGPSの発達だ。Google Mapにせよ、Wazeにせよ、ほとんどの場合に目的地を入れればそこに最短の時間で連れて行ってくれる。それに、今回はBMWをレントしている。やはり高級車には高級車の魅力がある。GPSが最短の道を選んでくれて、性能の高い車が私たちを目的地に届けてくれた。と思いきや、最後はかなりの距離をガタガタの石と砂の道を走ることになる。この車は山道と高速道路ならめっぽう強いが、SUVでも4WDでもないのでタイヤが薄い。かなり緊張感のあるドライブで20分ほど行くと、視界に大きな真っ青な海が広がり、そこに真っ白の地層と廃墟となった建物が見えた。あまりにも絶景でここもあっけに取られた。なんとここでキャンプ生活をしている人もいる。時間と体力があれば、半島の先端まで行くことはできたが、代わりにカメラバッグから白い望遠レンズを取り出し、遠方より撮影することにした。そもそも遠くから観ないと迫力が伝わらない(笑)。この自然の作り出す景観と人が残した廃墟、双方が素晴らしい景色を作ってくれていた。

十分と堪能したので、来た道を帰る。またしても白い砂と石の道は悪路だ。舗装した一般道に入った時の安堵と言ったらなかった。

まだまだ、遊び呆けることもできたが、今日は早く帰ってアパートでゆっくりすることにした。自炊で夕食を賄ってからアグリジェントの街を散策した。なんとここには立派な電車があり、ここは終着駅である。みんなこれで来るんだろう。オレンジ色の夕陽はこの古い街並みを本当に綺麗に照らしていた。

これでアグリジェントは終わり。明日は夕方からフェリーに乗り込み、マルタに出かける。マルタはEU加盟の独立国なので、明日から海外旅行に出かけることになる(笑)。楽しみだ。

(続く)

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第12話 海路マルタへ

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シチリア12日目、今日は二泊三日の海外旅行でマルタへ出かける。フェリーで車ごと移動だ。間が悪いことにフェリーの時間は夕方6時半、フェリー埠頭までの移動時間を2時間取ったとしても、有り余る時間がある。といっても、あまり派手に遊んで疲れてしまいたくない。と言うので、Ragusaと言う途中の街を見つけて、ここにある世界遺産の大聖堂を観ることにした。

やはりシチリアは敬虔なカトリックの国だ。道中には綺麗な村が散在するがどこも大きな教会もしくは大聖堂がある。Comisoと言う綺麗な街を抜けた。そういえば、近所のスーパーの魚屋の主人がイタリア人で、子供の時から一緒に遊んだ友人がビリオネアになってサッカーチームを買い取ったと教えてくれた。その人物をロッコ・コミソと言う。彼のご先祖の地かもしれない。

あっけなくRagusa到着。いやぁ、暑い。車を適当に停めて大聖堂を見学。ここも同じパターンでアラブの遺構に聖堂を建てたようで、世界遺産に列せられている。が、街は暑いせいか、ひっそりしてそれ以外に観るものがない。仕方なくカフェに入ってジュースを飲む。それでも時間が潰しきれないので、先にフェリー埠頭に行くことにした。やはりGPSは偉大な発明品だ。瞬く間にフェリー乗り場についた。なんとビーチの隣なので、搭乗口を確認した後に、あまりにも暑いので水に入ることにした。が、海水が温まってもはや温水であった。シャワーの水が一番良かった。

マルタはビクトリア女王の時代に、イギリスの植民地となった国で、今は独立しているもののイギリス色を多く残しているEUで最も小さい独立国である。そのために公用語は英語である。聞くところによると、国家元首は一般市民から選ばれるらしい。2年前に崩御されたエリザベス女王がまだ新婚だった頃、Navyのオフィサーをしていたご主人Duke of Edingburghの赴任先がマルタであった。今の国王チャールズがまだ幼少であったが、彼を乳母に預けて自分は新婚生活をマルタで楽しんだと読んだことがある。チャールズの特有の女性関係は教育を乳母に託されたその体験に基づくと分析する記事を読んだこともある。英国国王の女性関係と世界を変えた国なのだ(笑)。

昨年ギリシャの島巡りでフェリーには沢山乗った。が、それでも未だに緊張する。今回は国際航路なのでパスポートも見せなければならない。随分と早いが、フェリーの搭乗口にほぼ一番で車をつけた。そして案の定、搭乗の際は傍に寄せられてパスポートを再三チェックされた。が、搭乗。飲み物もスナックも完備した2時間の快適な航行であった。

優美な地中海が暗闇の中に消える頃、私たちはマルタに着いた。係員の指示で車に戻り、エンジンをかけ、緊張して自分の番を待つ。マルタに上陸。するとどうだ、ここは右側通行ではないか!これには驚いた。若かりし頃、日本で左ハンドルを運転してイキっていた自分を思い出そうとしたものの、すっかりアメリカのドライバーである。真っ直ぐな道はほとんどなく、GPSを読みながら、しかも暗い、人が沢山歩いているところを細君のGPSの指示を復唱しながら頑張ってホテルに向けて運転した。やった、ホテルを見つけた。

ホテルのフロントにはインド系の支配人、街はみんなイギリス人でイギリス英語を話す。ロンドンと言っても良いだろう。目と鼻の先である予約した駐車場に入れるのがすこぶる大変であったが、細君の手助けでなんとかした。ホテルにチェックイン。今回はアパートではなく、ホテルだ。それで良かった。

細君はチラシ寿司を食べるという。調べてみるとホテルの横に寿司屋がある。寿司屋?そう、ここはシチリアではないのだ。ロンドンなのだ。ありとあらゆる食べ物屋がひしめいていた。

ご褒美に、自分も寿司と焼きそば。地中海を奥へ奥へと船でやってきた先にイギリス(と寿司屋)があった。こいつは面白い。明日からが楽しみだ。

(続く)

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第13話 マルタの一日

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マルタに着いて最初の朝、昨夜は遅くに着いたので、早速ホテルのベランダに出てみた。朝日を反射する海がすこぶる綺麗で、白い家々はギリシャを彷彿させる。ホテルの朝食(バイキングはいいなぁ)をたらふく食べて、朝の散歩に出てみた。いやぁ、標識も何もかも英語で、これはさながらイングランドの海辺の街だ。

マルタそれ自体が小さな島なのであるが、さらに小さい島があって、そこが風光明媚であると聞いているので、そこにフェリーを乗り継いで車で出かけて行くことが今日のゲームプランであった。が、ホテルのフロントを通った時にツアーのチラシが目に入った。その小さな島までカタマランで連れて行ってくれるという。少し惹かれたが予定通り車の旅をしようと部屋に戻る。が、どうしても気になるので、もう一度下に降りて詳しく聞いてみた。フロントの人に話によると、カタマランで島に行くだけでなく、そこからバスで中心の街ビクトリアまで連れて行ってくれる。それだけでなく、さらに小さな島の青い海のビーチも連れて行ってくれるらしい。その名もBest of Gozo & Comino。総額は一人40ユーロだという。安くないかい?昨年ギリシャのサントリーニもツアーが最高であった。時計をみると9時10分、出発は9時30分、幸い集合場所は近いらしいが、かなり急がなくてはならない。急いで部屋に戻って細君を引っ張ってギリギリで集合場所に間に合った。赤いカタマランは格好良い!

1時間あまり走ったろうか、船は最初の目的地Gozo島に到着。そこから間髪入れずにバスで10分。Gozoの中心街、ビクトリアに着いた。この街はビクトリア女王の在位期間にできたことは確実だ。そこにはごった返してはいるが良いエネルギーが漂う。今にでも入りたいレストランが並ぶ通りを歩いてエジプトのような路地を抜けるとそこに大聖堂、St George's Basilica がある。聖ジョージはイングランドの守護神、スイスのような赤字に白い十字が旗である。それだけで、ここがどれだけ植民地時代のイングランドにとって重要な意味を持つ場所であるかを測り知ることができる。外からは小さな建物に見えるが中に入ると荘厳だ。教会は肌を露出して入る訳にはいかない。ビーチリゾートの教会は水着姿の女性に黒いベールを被せる。

続いてシタデルに向かう。かなり暑いので参ってしまうが頑張って丘を登ると古い要塞と教会がある。大砲が並んでいる。見終わってから先ほどのレストランの並ぶ繁華街に向かい、まるでロンドンかと思う店に入ってバーガーとラザニアを食べた。私たちはいつもラッキーで入るときは空いているのに、途中から偉く混み始める客寄せパンダなのだ。

さて、そこからバスに乗って船着場に戻り、先ほどの赤いカタマランで次の島、Cominoに向かう。Comino島はマルタのメインの島とGozo島の間に位置する小さな島で自然を残すために開発が一切されていない。目指すのはブルーラグーンビーチ、海が真っ青なのであった。いやぁ、これだけ青い海を見たことがない。その透明感と水の温度と、これは最高の海水浴といって良いだろう。玉に瑕は、あまりにも人が多いので寝そべる場所がほとんどない。後半に頑張ってパラソルを見つけて至極のビーチタイムを味わうことができた。最高だ。

陽が傾き始めた頃にカタマランのお迎えが来る。それに乗って1時間強で朝に出発したValettano船着場に戻る。これははっきり言って大正解であった。車は一日車庫に入れて、船とバスで回るBest of Gozo & Comino。最高であった。

すっかり上機嫌でレストランを物色してホテルに戻って休息。そして先程目を付けておいたイタリアン・レストラン(昨日までイタリアにいたのだが)に直行。お決まりのカラマリとボンゴレスパゲッティを注文。自分でGPSを頼りに運転する旅行から一転、他人に思い切り遊んでもらった超能天気なマルタの一日であった。

(続く)

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第14話 マルタ最終日

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マルタの素晴らしさを過小評価しすぎていた。最初は日帰りの予定であったことがいかに野暮かを実感した。二泊三日でも足りない。残念ながら二日目の今日は夕方にフェリーでイタリアに戻る。車を狭い車庫から取り出してホテルをチェックアウトして、とりあえず車で島を回ってみる。小さな島であるが、意外と広くて国際空港もある。来年はここに直接飛んでくるという手もあるだろう。実際島にたくさんいたロンドンっ子(そう見える)はそうやってUKから直接来ているに違いない。

が、島の端はあまり観るところがないので、フェリー埠頭のあるValettaに戻ってマルタの中心を観ることにした。左ハンドルの右側通行にも少し慣れてきた。いいぞ。歴史的な古いゲートは圧巻だ。独立記念の碑もある。そのまま繁華街に入っていく。ここも暑い。シチリアでは見かけなかったスタバがある。図書館がある。誰が見てもわかるビクトリア女王の石像とマルタの先住民が現地の言葉で書いた彼女を皇帝として崇める碑もあった。何だかんだ言って植民地政策を現地の人に洗脳する図書が並んでいるのであろう(笑)。なんと郵便ポストと電話ボックスはロンドンのものと同じ。日本も昔は丸いポストであったがそれは英国から来ていたからだ。

Grandmaster Palace、マルタの総督府宮殿があった。これは入らねばならない。夥しい数の銃、大砲、鎧がかつての激戦を物語る。宮殿は荘厳で国を代表する建物であることは間違いない。今もパーラメントはここで行われるのであろうか。若き日のエリザベス女王の等身大以上の肖像画がある。

さて、一通り観なければいけないものは観た。そろそろランチだ。レストランに入る気はないし、どこか簡単な立ち食いで済ませたいがトイレにはきっちり行っておきたい。がそういうものはこういう歴史的な街には多王にはないものである。そこに救世主が現れた。フードコートだ。アジア食からバーガーまで屋台でピックして好きな場所で食べることがきる。タイのご飯とチキンを食べて、ミルクシェークを飲んだ。なんと、近くにはコンベンション・センターもあり国としてやる気満々である。やはり、弱小国といえども独立して国の文化的アイデンティティーを持たなければ行けない、そう思った。細君の会社のコンベンション、ここでやってくれないかなぁ。

さて、お腹もいっぱいで、暑い中を車まで戻らなければならない。良い気になってどんどんと歩いてしまったので車まではちょっとした距離であったが、Google Mapを駆使してなんとかなった。車に乗ってフェリー埠頭を目指す。いよいよマルタとお別れだ。が、調べておいたフェリー埠頭がない。全く人影のない寂れたところに着いてしまったのだ。パニクった。が、私が車に残り細君が足で調べてくれた。なんとかなった。このフェリー、シチリアとマルタの往復のみ一日一便運行しているだけあってどこか適当なのである。

航海は相変わらず快適であった。地中海の深い海の上を大型フェリーは滑るように走る。2時間弱の船旅で夕暮れが綺麗なシチリアに戻った。さて、ここPozzalloから1時間、車を運転してSyracuseという街に行ってアパートにチェックインしなければならない。駐車に関しては不明のままだが、チェックインのインフォメーションは送られていた。

頑張ってアウトストラーダを走り、暗くなる頃に街に入り、GPSがアパートの前まで連れて行ってくれた。AirBnBの悪いところはキーの受け渡しだ。が、ラッキーなことに玄関前には同じ宿の宿泊客がいて、親切にパンチインとチェックインを手伝ってくれた。

相変わらずの汚いシシリー。しかも超暑い。アパートの周りには気の利いたレストランもスーパーも無い。仕方なく通りを歩くと、屋台が出ていた。早速シーフードの揚げ物を頼むと非常にビッグな盛り合わせが出てきた。美味い!

こうして最後の滞在地、Syracuseに到着。あのお気楽なマルタからやや暗めのシチリアはちょっとめげるが、何はともあれ無事に到着して路上駐車で問題ないことがわかった。

長い一日であった。感謝。

(続く)

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第15話 シラキュース

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シラキュースの朝。なんとアパートが朝食をご馳走してくれる。というかBed & Breakfastなので当然といえば当然なのか。チケットを持って昨夜揚げ物を食べた屋台の近くのカフェに行く。大きなクロワッサンとカプチーノだ。暑い。室内の冷房は効いていないし、外は死ぬほど暑い。が、頑張って朝食をいただいた。

今日は、ギリシャのシアターを観にいく。そうなのだ、アグリジェントについでこの地もギリシャの影響が濃く、近くにギリシャのシアターがある。車でほんの少し走っただけで着いてしまった。酷暑とはこのことだ。外にいるとどんどん体力を消耗してしまう。ここのグリーク・シアターは、フランスのオランジュ、エジプトのアレクサンドリア、シチリアのタオルミーナに続いて4番目。記録によるとハプスブルグのカルロスV世(キント)が、Ortigiaの要塞を固めるために石を持ち出したという。が、ギリシャ悲劇の名作、ソポクレスのオイディプス王の初演はここで行われたと言う。それはギリシャ人の友人も証明してくれた。ある国に王子が生まれた。が、預言者が「この子はやがて父親を殺して母親を娶るだろう」と告げるので、それを避けるために、子供を隣の国に捨てた。やがてその子は頭角を表し、その国の王になり隣国を攻め、その国王を殺して王妃をめとった」という、運命を避けることができないという有名なギリシャ悲劇だ。現在でも息子は母親に懐き、娘は父親を愛することを指す心理学用語エディプス・コンプレックスがここから名付けられるほどの大作が初演される場所である。私もそれに敬意を表する舞を奉納した(笑)。

強烈に暑いし、近いので一旦アパートに戻って立て直す。午後はワイナリーに行く。1時間ほど海沿いを走ってスーパーでランチを調達。ほんの少し山を登り始める頃にワイナリー、Tenuta Palmeriに到着。予約はあるかと聞かれたが、無くてもなんとか入れてくれとても素晴らしいもてなしをいただいた。私はワイン効きではないが、細君が吟味をしてくれた。フルーティーなものはとてもよくて一本買ってしまったが、つまみと合わせてその雰囲気は中々なものであった。ただ、ソムリエの人の話では、最近は夏の温度が高すぎてワイン作りは苦労するとのことであった。それはうなづける茹だるような暑さであった。

夕刻には、カルロスV世がギリシャのシアターから石を盗んで作らせたOrtigiaに向かう。気温がもう少し正常であればそぞろ歩きできる距離であるが、何せこの暑さ、車でギリギリのところにある駐車場に向かった。これ入って大丈夫かと思う細道を幸せな歩行者を避けながら車を走らせて、これ入れて大丈夫かと思う地下に入ると駐車場があった。愛想の良いお兄さんが経営していて予約なしでも車を入れてくれた。

Ortigiaは思ったよりも美しく、歴史がふんだんに感じられる良いところである。目玉は、大聖堂とその前の広場、そしてそこにあるパラッツォである。大聖堂はマリア様を祀っているので至る所に像がある。あれ、偶像崇拝は禁止なんじゃなかったっけ(笑)。広場を見下ろすパラッツォの優雅な事。8ユーロでワイン付き、ワインを啜りながら大聖堂を眺めた。

広場から歩くと間も無く海に出る。そこからカルロスV世の砦が見える。なんとそこに淡水の泉があり鯉とガチョウが優雅に泳ぐ。砦の真水の獲得目的でカルロスV世が作ったに違いない。

ちょうど夕日が美しくワイングラスを染める頃に、一番華やかなレストランに入ってシチリア最後のディナー。十八番のボンゴレスパゲッティ。ここは麺が太い。細君は焼き魚。食べたいものがドンピシャで出てきた。

シチリアは、美しい海と多彩な民族の織りなす歴史、”Never in Control"の文化、John Keaheyの本で読んだ通りの国であった。マルタは良い比較対象であった。国のアイデンティティーと独立、自信と文化、そんなことを沢山考えさせられた18日間であった。シチリア、マルタありがとう!

(続く)

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Camera: Canon EOS R5, EOS R8 & iPhone 14 Pro
Lens: Canon RF 24-105mm f/2.8L, EF 70-200mm f/2.8L, EF 2X Extender, RF 35mm f/1.8L & RF16mm f/2.8L