学校英語は無駄ではない。

よく、「日本の英語教育はなっていない」とか「受験英語は無駄だ。しゃべれるようにはなれないじゃないか」という意見を耳にします。確かに学校の英語でいい点をとってもしゃべれるようにはなれませんが、学校の英語を完全に理解していなければしゃべれるようにはなれません。これは事実です。確かに学校ではいい点を取っていなかった人が英語圏で生活して、それなりに日常会話を習得することは多々ありますが、その人が高校英語をマスターしない限り新聞も読めなければ英語で会議にでることもできません。従って社会人で英語ができなくて困っている人は、もう一度高校の英語に戻ることを私は勧めます。

それでは、具体的に何を勉強すれば良いかレベル別にをお話しましょう。

中学生、もしくは中学程度の英語力をお持ちの方
まず学校の教科書を完全に理解しましょう。訳せることは重要ですが、文法を理解してください。記憶力がある時なのでできる限る文章を暗記すると後でしゃべるときに役に立ちます。ただし学校は読むことばかりしますから、私はNHKのラジオ基礎英語をお勧めします。毎日20分声を出して練習してください。確かにそれをやっても直接期末試験の点数が良くなるわけではないかも知れませんが、後々血となり肉となります。

高校生、もしくは高校程度の英語力をお持ちの方、または社会人でやり直したい方
中学卒業時の英語力と大学入試に求められる英語力はとんでもない開きがあり、私も含めて大抵の人はそこで挫折しかかります。求められるとされる語彙量も1000語から6000語と大きなギャップがあります。その5000語のギャップをどう埋めるかに実は大きなヒントがあります。もちろん英単語の暗記などしてはいけません。そこで私の勉強方法を紹介します。

1.文法を理解する
まず文法書を勉強し、文法に強くなることです。高校生になると学校から大抵300ページほどの文法書が与えられますが、これを最初から徹底的に勉強して文の構造、すなわち五文型を完全に理解することです。母国語をマスターする場合は数年かけて親のしゃべる言葉を覚えていくうちに文法が自然に理解できて、国語文法なんて勉強しなくても日本語がしゃべれるようになりますが、大人になってから外国語を学ぶ場合には、文法を頭で理解していなければしゃべるようにはなれません。従って文法書を徹底的に読んで理解することです。文法は家に例えるなら設計図にあたります。設計図が無いのにいきなり家を建て始める大工がどこにいますか。文法がわからずにいくら辞書を引いても伸びることはありません。どんな英文を読んだときにも一つ一つの単語の品詞がすべて理解できなければいけません。すごく遠回りのように思えますが、実はこれが英語をマスターする最も効率的なショートカットなのです。

Webster 撮影 浅井岳史 2.英和辞典を使わない
次にお勧めするのは、英英辞典の使用です。英英辞典とは、英単語の意味を引くと英語で説明が載っています。最初のうちはどうしても知りたい単語を引くとその説明の中に知らない単語がいっぱいあってそれをさらに引くとさらに知らない単語があってという地獄絵のような構図になってしまいますが、学校の宿題をすべて英英辞典でできないにしても毎日必ず使うようにしましょう。確かに、「英和辞典で引けば一発で意味がわかって訳せる文章をなんでわざわざ手間のかかる英英辞典で」と思われる方が多いと思いますが、その過程が重要なのです。それは、次章で述べる本当の英語力を作る第一歩だからです。私は高校二年生くらいから英英辞典を使い始め、大学に入ったときに高校生から使っていたことに感謝しました。英和辞典で意味を引いて単語帳をつくるという従来の高校生のスタイルはかえって本当の英語力を作る邪魔になりますから、できるだけ早く英英辞典に切り替えることをお勧めします。

そして、NHKのラジオ講座は絶対に続けてください。